
営業電話を一度断ったのに同じ会社から何度も電話がある、担当者を変えて繰り返し勧誘される、受付で不要と伝えても連絡が止まらない。このような場合、まず電話口で営業を希望しない意思を明確に伝え、それでも続くときは書面で連絡停止を申し入れる方法があります。ただし、「停止通知を送れば必ず電話が止まる」「内容証明を送れば法律上すべての勧誘が禁止される」というものではありません。特に法人や事業者向けの営業では、個人向け電話勧誘販売と同じ特定商取引法の規制がそのまま適用されるとは限りません。この記事では、営業電話の停止通知を作成する前に確認すること、記載する内容、送付方法、内容証明郵便を利用するときの注意点を整理します。
目次
営業電話の停止通知を検討する場面
営業電話への対応は、いきなり内容証明郵便を送る必要があるとは限りません。まずは電話口で「この営業について今後の電話連絡は不要です」と明確に伝え、着信日時と相手の名乗りを記録します。
その後も同じ会社から電話が続く、別の担当者から同じ内容の営業が繰り返される、代表電話だけでなく複数の部署へ連絡されるといった事情があれば、社内で個別対応を繰り返すより、窓口を一本化して停止要請を文書で伝えることを検討できます。
| 状況 | 検討する対応 |
|---|---|
| 初めての営業電話 | 必要がなければ電話で明確に断る |
| 一度断った後の再連絡 | 日時・番号・相手方・内容を記録する |
| 複数回繰り返している | 会社の正式な連絡先を確認し停止要請を検討 |
| 部署を変えて連絡が続く | 会社単位での連絡停止を明示する |
| 威迫・脅迫的な内容がある | 文書対応だけでなく警察相談等を検討する |
なお、電話の内容が単なる営業を超え、金銭を要求する、身分を偽る、脅迫的な発言をするなど犯罪を疑う事情がある場合は、相手への通知だけで処理しようとせず、状況に応じて警察へ相談してください。緊急の場合は110番、緊急ではない警察相談については#9110という選択肢があります。
停止通知を作る前に整理する情報
停止通知は、相手を非難する文章ではなく、「どの連絡について、今後何をやめてほしいのか」を明確に伝える文書です。そのため、作成前の事実整理が重要です。
着信日時と電話番号
スマートフォンや電話機の履歴から、着信した年月日、時刻、表示された電話番号を整理します。複数の番号から電話が来ている場合には、番号ごとに分けて記録します。
相手が名乗った会社名・担当者名
会社名は略称ではなく、可能であれば正式商号を確認します。電話番号検索サイトの口コミだけで会社を特定せず、企業公式サイトの会社概要や問い合わせページを確認してください。
勧誘された内容
求人広告、MEO対策、通信回線、不動産、電力、OA機器など、何について営業されたのかを書きます。契約済みの商品について必要な連絡が来ている場合と、新規営業の電話では性質が異なるため、「一切電話するな」と広く書きすぎると、本来必要な契約上の連絡まで対象に含まれる可能性があります。
断った日時と内容
「○月○日の電話で営業を希望しない旨を伝えた」「○月○日に今後の電話は不要と伝えた」など、確認できる範囲で時系列にします。記憶が不確かな内容は推測で断定せず、「おおむね○月頃」のように区別します。
営業電話の停止通知に書く内容
通知書に決まった名称や一律の定型文があるわけではありません。重要なのは、相手方、対象となる連絡、これまでの経過、こちらの意思が読み取れることです。
| 記載項目 | 内容 |
|---|---|
| 宛先 | 確認した正式商号・所在地 |
| 通知者 | 会社名や本人名など案件に応じた表示 |
| 対象となる電話 | 営業内容、着信時期、番号など |
| これまでの経過 | 営業を断った日時や再着信の状況 |
| 今後の希望 | 対象となる営業電話を停止してほしい旨 |
| 必要連絡の扱い | 既存契約の事務連絡等を除外するか確認 |
例えば、既にその会社と別サービスの契約がある場合には、「既存契約に関する必要な事務連絡を除き、新規サービスの営業目的の電話連絡を希望しません」のように対象を限定することがあります。
反対に、取引関係が一切なく、営業目的の電話だけが繰り返されているのであれば、「当社代表番号及び各部署への当該サービスに関する営業電話を今後行わないよう求めます」といった形で対象を整理することが考えられます。
「次に電話したら直ちに刑事告訴する」「必ず行政処分を受ける」など、法的根拠や手続の見通しを確認していない威圧的な記載は避けるべきです。通知書は相手を攻撃する文書ではなく、こちらの意思と事実関係を正確に伝える文書として作成します。
普通郵便・書留・内容証明の違い
停止通知を郵送する方法には、普通郵便、一般書留等、内容証明郵便などがあります。目的に応じて選択します。
| 方法 | 主な特徴 |
|---|---|
| 普通郵便 | 一般的な送付方法。文書内容や配達事実を特別に証明する制度ではない |
| 書留等 | 引受けや配達状況を確認しやすい |
| 内容証明 | いつ、どの内容の文書を誰から誰宛てに差し出したかを日本郵便が証明する |
| 内容証明+配達証明 | 内容の記録に加え、配達した事実の証明を付ける方法 |
日本郵便の内容証明は、文書の内容が真実であることまで証明する制度ではありません。例えば「相手が10回電話した」と文書に書けば、その記載内容の文書を差し出したことは記録できますが、本当に10回電話があったかまで日本郵便が証明するわけではありません。
また、日本郵便によれば、内容証明だけでは相手が受け取ったことの証明にはならず、配達したことの証明が必要な場合には配達証明を付加する方法があります。どの送付方法が必要かは、文書を残す目的や案件の状況によって判断します。
個人向けと法人向け営業で注意する点
営業電話について法律を調べると、「一度断った相手への再勧誘は禁止」といった説明を目にすることがあります。しかし、その規制をすべての法人営業・事業者向けテレアポにそのまま当てはめることは適切ではありません。
消費者庁の特定商取引法ガイドでは、電話勧誘販売について規制が設けられている一方、法第26条の適用除外として「営業のため、又は営業として締結するもの」などが挙げられています。また、利益活動をする意思があるというだけで直ちに適用除外になるわけではなく、契約対象と事業との関連性などを総合的に確認する考え方も示されています。
そのため、会社に営業電話があったという事実だけから「特商法違反」と断定するのではなく、誰が契約主体になるのか、何を購入する勧誘なのか、事業のために利用する契約なのかなどを確認する必要があります。
個人として電話勧誘を受け、契約トラブルなどについて相談したい場合には、消費者ホットライン188から地域の消費生活相談窓口の案内を受けられます。
行政書士に文書作成を依頼する場合
自分で停止通知を書くと、必要以上に感情的な内容になったり、逆に何を求めている文書なのか分かりにくくなったりすることがあります。行政書士には、法令上認められる範囲で、事実関係を整理した通知書や内容証明郵便の文案作成について相談できます。
相談時には、着信履歴、電話番号、相手が名乗った会社名、勧誘内容、これまで断った回数や日時、公式サイトで確認した相手方の所在地などを準備すると整理しやすくなります。
一方、相手方との示談交渉や紛争そのものの代理などは、行政書士が当然に行える業務ではありません。相手方との法的紛争が既に顕在化している場合には、案件に応じて弁護士への相談が必要になることがあります。
また、行政書士名で通知を出すことが適切か、本人・会社名義で作成する方が適切かについても案件ごとの判断になります。通知の作成や送付によって電話停止という結果を保証することはできません。
営業電話の停止通知に関するよくある質問
Q. 一度断った営業電話がまた来たら、すぐ内容証明を送るべきですか?
必ずしも内容証明が必要とは限りません。まず着信日時、相手方、営業内容、断った事実を記録し、電話や通常の書面による停止要請で足りるかを検討します。
Q. 「今後一切電話しないでください」と書けばよいですか?
既存契約がある場合、本来必要な事務連絡まで含むのかが不明確になることがあります。「新規サービスの営業目的の電話」など、停止してほしい連絡の範囲を具体的にすると整理しやすくなります。
Q. 内容証明を送れば相手は必ず営業を停止しますか?
保証はありません。内容証明は文書の内容と差出しを記録する制度であり、記載した要求への強制力を日本郵便が与える制度ではありません。
Q. 法人宛て営業電話も一度断れば特定商取引法違反ですか?
一律には判断できません。特定商取引法第26条には営業のため又は営業として締結する取引等の適用除外があるため、契約主体、取引内容、利用目的などの確認が必要です。
Q. 電話番号しか分からなくても通知できますか?
郵送通知を行うには通常、送付先となる相手方の特定が必要です。口コミだけで会社名を決めず、相手の名乗りや公式サイトの公開情報を確認してください。
参考サイト
- 消費者庁・特定商取引法ガイド「電話勧誘販売」-電話勧誘販売の規制と法第26条の適用除外を確認できます。
- 消費者庁・特定商取引法ガイド「訪問販売等の適用除外に関するQ&A」-営業目的取引の適用除外の考え方を確認できます。
- 日本郵便「内容証明」-内容証明で証明される事項や差出方法を確認できます。
- 警察庁「公的機関【刑事・民事手続関係】」-警察相談専用電話#9110などを確認できます。