
「いりません」と断ったのに翌日も電話がくる、別の担当者から同じ商品の案内を受ける、何度断っても話を続けられる――個人に対するしつこい電話勧誘では、まず契約しない意思を明確に伝え、いつ、どの番号から、誰が、何を勧誘し、こちらがどう断ったかを記録することが重要です。一定の電話勧誘販売では、特定商取引法に再勧誘を禁止する規定があります。ただし、すべての電話営業が同じ規制の対象になるわけではありません。この記事では、個人消費者が電話勧誘を受けた場合を中心に、断り方、再勧誘の記録、消費生活センターへの相談、相手方への通知を検討する際の注意点を整理します。
目次
しつこい電話勧誘では契約しない意思を明確にする
不要な電話勧誘を受けたとき、「今は忙しいです」「家族に聞いてみます」「考えておきます」と答えると、契約しない意思が相手に明確に伝わらない場合があります。勧誘を受ける意思がないのであれば、「契約しません」「必要ありません」「今後もこの商品の勧誘はお断りします」など、明確に伝えることが基本です。
消費者庁の特定商取引法ガイドでも、電話勧誘販売について、曖昧な返事を避け、契約する意思がないことをはっきり伝えるよう案内されています。
一方で、長時間電話口で法律の議論をする必要はありません。会社名、担当者名、商品・サービスの内容を確認したうえで、不要であれば明確に断り、通話を終了します。
相手から「資料だけ送る」「無料だから登録だけ」「担当者から説明だけ」などと言われても、必要がなければ応じる義務はありません。資料送付のためとして住所、メールアドレス、生年月日等を尋ねられる場合もあるため、不要な商品・サービスについて個人情報を追加で伝えることは避けます。
断った後の電話は時系列で記録する
しつこい電話勧誘について消費生活センター等へ相談するとき、「何度もかかってくる」という説明だけでは、いつ断り、どのように勧誘が続いたのかを確認しにくい場合があります。簡単な表やメモで時系列を作っておくと、状況を伝えやすくなります。
| 記録項目 | 記載例 |
|---|---|
| 着信日時 | 10月14日 10時15分 |
| 表示番号 | 着信画面に表示された番号 |
| 相手の名乗り | ○○株式会社と名乗った |
| 勧誘内容 | 通信サービスの契約案内 |
| こちらの回答 | 契約しない、今後の勧誘も不要と伝えた |
| その後 | 翌日に同内容の電話があった |
重要なのは、推測ではなく自分が確認した内容を書くことです。電話番号検索サイトに会社名が掲載されていても、自分が電話口でその会社名を確認していない場合は、「口コミサイトでは○○との投稿あり」と別に記録します。
録音機能を利用する場合は、必要な範囲で保存し、SNS等で無関係な第三者へ公開することとは分けて考えます。相談や事実確認のための記録と、相手をさらす目的の公開は同じではありません。
電話勧誘販売の再勧誘禁止とは
消費者庁の特定商取引法ガイドでは、電話勧誘販売について、販売業者等が電話をかけ、消費者に商品や役務等の契約を勧誘し、その電話をきっかけに申込みを受けるような取引について規制内容を説明しています。
同ガイドでは、電話勧誘販売において、契約を締結しない旨の意思を表示した消費者に対し、同じ電話で引き続き勧誘したり、改めて電話をかけて勧誘したりすることは特定商取引法第17条との関係で禁止されると説明されています。
再勧誘禁止規定に関する運用指針では、「いりません」「関心がありません」「お断りします」など明示的に意思表示した場合のほか、一定の場合に黙示的な意思表示についても考え方が示されています。
ただし、「営業電話を一度断れば、今後その会社から一切の電話が法律上禁止される」と単純化するのは適切ではありません。どの商品・役務の勧誘だったのか、電話勧誘販売の規制対象となる取引か、別契約に必要な連絡ではないかなどを確認する必要があります。
また、法人や事業者が営業のために締結する契約については、特定商取引法第26条の適用除外が問題になります。個人消費者向けのルールを法人向け営業電話にそのまま当てはめないことも重要です。
消費生活センターへ相談するときに整理すること
個人として電話勧誘を受け、何度断っても勧誘が続く、契約させられそうになった、既に契約して困っているという場合は、地域の消費生活センター等へ相談する方法があります。
消費者ホットライン188へ電話すると、地方公共団体が設置する身近な消費生活センターや消費生活相談窓口につながるよう案内されます。188は消費者庁の担当職員へ直接相談する番号ではありません。
相談前には、相手会社の名称、担当者名、表示された電話番号、勧誘商品、最初の電話の日時、断った日時、その後の再勧誘、契約の有無、支払の有無、届いた書面やメールなどをまとめます。
すでに契約した場合は、契約日、契約金額、支払方法、契約書面を受け取った日なども重要です。電話で断る方法だけを質問するのではなく、「契約をしている」「クレジットカード情報を伝えた」「商品が届いた」といった事情は最初に伝えます。
相談窓口へ提出するために、相手を非難する長文を作る必要はありません。時系列と確認資料が整理されている方が、状況を把握しやすくなります。
契約してしまった場合は勧誘停止だけで終わらせない
電話勧誘を受け、すでに契約の申込みや契約をしている場合は、「今後電話しないでください」と伝えるだけでは足りないことがあります。契約自体をどうするかという問題が残るためです。
消費者庁の特定商取引法ガイドでは、規制対象となる電話勧誘販売について、法定書面を受領してから一定期間のクーリング・オフ制度があることなどが説明されています。実際に利用できるかは、取引類型、契約内容、書面の交付状況等を確認する必要があります。
「電話で契約したから必ず電話勧誘販売になる」「8日以内ならどんな契約でも解除できる」といった一律の判断は避けます。契約書、申込画面、メール、商品名、支払方法などを手元に置き、消費生活センター等へ具体的に相談します。
また、相手から「解約には別の商品を契約する必要がある」「手続きを止めるには追加費用が必要」など新たな契約を勧められた場合も、その場で支払わず、契約関係を確認することが重要です。
書面で勧誘停止を伝える場合
口頭で断っても同じ勧誘が繰り返される場合、相手方へ書面で勧誘停止の意思を通知する方法があります。書面には、相手方の正式商号、自分に対する勧誘の内容、これまで断った経緯、今後停止してほしい連絡の範囲を整理します。
例えば、「○月○日の電話において契約しない旨を伝えた」「その後○月○日にも同商品の勧誘電話があった」「今後、本件商品について電話による勧誘を行わないよう求める」というように、事実経過を中心に書きます。
会社の口コミ評価や、確認できていない違法行為まで書く必要はありません。「違法業者である」「詐欺会社である」など裏付けのない断定を避け、自分が受けた電話と自分の意思を明確にする方が適切です。
内容証明郵便を利用する場合でも、郵便局が通知内容の真実性や相手方の違法性を判断するわけではありません。また、内容証明を送ったからといって、相手が勧誘停止に応じることが保証されるわけでもありません。
しつこい電話勧誘でよくある質問
Q. 「いりません」と言った後にまた電話がきました。再勧誘に当たりますか?
規制対象となる電話勧誘販売で、契約しない旨の意思表示後に同じ契約について勧誘を継続・再開した場合は、特定商取引法第17条との関係が問題になります。実際の取引内容を確認して判断する必要があります。
Q. 「今は忙しい」と言っただけでも再勧誘禁止になりますか?
単に時間の都合を伝えただけでは、契約しない意思が明確でない場合があります。不要であれば「契約しません」「今後この商品の勧誘は不要です」と明確に伝える方法があります。
Q. 消費者ホットライン188は消費者庁につながりますか?
188は、地方公共団体が設置する身近な消費生活センター等の相談窓口を案内する仕組みです。消費者庁へ直接つながる番号ではありません。
Q. すでに契約してしまった場合も188に相談できますか?
相談できます。契約日、商品・サービス、金額、契約書面、支払状況、勧誘経緯などを整理して相談してください。
Q. 法人宛ての営業電話でも同じ再勧誘禁止が使えますか?
一律にはいえません。営業のため又は営業として締結する取引は特定商取引法第26条の適用除外となる場合があり、法人・事業者向け取引と個人消費者向け取引を分けて検討する必要があります。
Q. 警察へ通報すれば営業電話を止めてもらえますか?
通常の営業電話と、脅迫、詐欺被害、つきまとい等の犯罪に関係する事情は区別して考える必要があります。緊急の事件・事故は110番、契約や電話勧誘販売の消費者トラブルは消費生活センター等への相談を検討します。
参考サイト
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「電話勧誘販売」:電話勧誘販売の定義、再勧誘、クーリング・オフ、適用除外等の概要を確認できます。
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「特定商取引法の条文」:特定商取引法の条文や再勧誘禁止規定に関する運用指針を確認できます。
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「訪問販売等の適用除外に関するQ&A」:「営業のため、又は営業として締結するもの」の考え方を確認できます。
- 消費者庁「消費者ホットライン」:188番と地域の消費生活相談窓口への接続方法を確認できます。